＜参考文献：斎藤学著「子供の愛し方がわからない親たち」講談社 1995年＞
児童虐待調査研究会の報告（厚生省報告 1983）（１）身体的虐待（身体的暴行）…外傷の残る暴行あるいは生命の危険のある暴行。外傷としては、打撲傷、あざ（内出血）、骨折、頭部外傷、刺傷、火傷など。生命に危険のある暴行とは、首をしめる、ふとん蒸しにする、溺れさせる、逆さ吊りにする、毒物を飲ませる、食事を与えない、冬、戸外にしめだす、一室に拘禁する、など
（２）性的虐待…養育者による近親相姦、または、養育者による性的暴行など
（３）ネグレクト（養育の怠慢、拒否）…遺棄、衣食住や清潔さについての健康状態を損なう放置をいう。遺棄とはいわゆる捨て子（棄児）、健康状態を損なう放置とは、栄養不良、極端な不潔、怠慢ないし拒否による病気の発生、学校へ行かせないなどをいう
大阪府児童虐待調査研究会の報告（大阪府報告 1988）（１）身体的虐待…養育者により加えられた身体的暴行の結果、児童に損傷が生じた状態で、以下の要件を満たすもの。１）非偶発的であること（単なる事故ではないこと）、２）反復的・継続的であること
（２）性的虐待…養育者等により、児童が性的暴行あるいは性的いたずらを受けたもの
（３）心理的虐待（情緒的虐待）…養育者により加えられた行為により、極端な心理的外傷を受け、児童に不安・脅え、うつ状態、凍りつくような無感動や無反応、強い攻撃性、習慣異常等の日常生活に支障をきたす精神状態が生じた状態で、以下の要件を満たすもの。１）身体的暴行による虐待、養育の放棄・拒否による虐待、性的暴行による虐待を含まない、２）児童の行動と養育者の行動との関連が確証できる虐待
（４）ネグレクト…養育者による児童の健康と発育・発達に必要な保護、最低限の衣食住の世話、情緒的・医療的ケア等が不足まはた欠落したために、児童に栄養不良、体重増加不良、低身長、発達障害（運動・精神・情緒）等の症状が生じた状態で、以下のいずれかによるもの。１）養育の放棄・拒否、２）養育の無知（養育者に育児知識まはた能力がない）
国立小児科調査 1986（１）被虐待児症候群（虐待された子）…親または親に代わる養育者により加えられた虐待行為の結果、小児に損傷が生じた状態で、以下の要件を満たすもの。
＜虐待行為＞
a.非偶発的であること（事故でないこと）
b.長期にわたり反復的、継続的であること
c.身体的暴行ないし性的虐待を含む
d.通常の躾、体罰の程度を超えていること
＜損傷＞
治療を要する状態
＜親子関係＞
治療的対応を要する状態であること
（２）愛情剥奪症候群（放置された子）…親または親に代わる養育者が、小児の健康と発育発達に必要な保護、最低限の衣食住の世話、情緒的、医療的ケア等を長期、慢性的に放棄した結果、小児に治療を要する症状が生じた状態。
親子関係が治療的対応を要する条件である状態であるかを要件とする。
なお、心中、遺棄は、これからに含まれないものとする。
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